第4話 学習
《封印フェーズ》
《SCORE:0》
《学習値:5》
《覚醒フェーズ》
《学習:電撃耐性(低級)》
《学習完了》
《覚醒、開始》
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スケルトンは実験で殺されてから1日で覚醒した。場所はサンプル保管室のカプセルの中。昨日いた独房のような部屋より更に狭かった。
二人は決して入れない狭さの楕円型。そもそも人が入るように作られておらず、元はサンプルとして保管されていたであろうスケルトンが復活した為、このような狭さになったのである。
もしスケルトンに筋肉が有れば、内側からカプセルを破壊できたかもしれない。
しかしそんなものは無く、スケルトンはカプセルの中でもじっとすることしか出来なかった。
そうして三日後。
たまたまスケルトンを殺した男がサンプル保管室に現れる。
「ほぉ……! これはこれは。粉々の骨から完全にまで復活しているではないか。
まさか不死性を持つスケルトンだったとは。新発見かもしれんなこれは……。
サンプルを取っても復活されるのならば、殺す必要は無い。今すぐに、実験に出さなくては!」
そう男は興奮気味にスケルトンをカプセルから出せば、スケルトンをここぞとばかりに、男に飛び掛かる。
「カタカタ!」
「おっといけない」
そこで男は少し驚きながら強力なスタンガンを取り出すと、飛び掛かるスケルトンに撃つ。
しかし……。スタンガンから放たれた電流はスケルトンの身体を避けるようにして流れ、スケルトンは男の身体を押し倒す。
「ッ!? 何!? なぜだ! この前はこれで粉々に! やめろ! ぎゃあああああっ!!」
スケルトンは男の体に馬乗りになれば、骨の拳で本気で男の顔面を何度も殴る。
それによってスケルトンの拳が砕けても、お構いなしに殴り続ける。
ヒビや折れた骨は男の顔に突き刺さり、また刺さった骨を更に拳で打ち込むで、そこから血が噴き出す。
それを何度も続ければ、男の顔面は簡単に穴だらけとなり、見るに堪えない無残な姿と成り果てた。
「カタカタ」
さて、脱出は成功した。次の目的は今の建物からの脱出だ。全ては魔王の命令を全うするために。
スケルトンが部屋を出ようとした瞬間、空気を震わせる程の爆音でサイレンが鳴り響く。どうやら先ほどの研究者が死ぬ間際に、警報を鳴らすスイッチを所有していたようだ。
だからと言って焦ることはない。原因を突き止めようと多くの警備員がこちらに来るだらう。ならば全て一人残らず殺すのみ。
バタバタと数人か、もっと多くの足音がスケルトンの元に来ているのが分かった。
武器は没収されたようだ。しかも素手は先ほどの戦闘で砕けて使い物にならない。
ではどうするべきか?
残念ながら今のスケルトンに現状を打破出来るような、思考を巡らせる知能は持っていなかった。
そしてスケルトンの前に立ち塞がる警備員は、容赦なくパイルガンのような武器で、頭蓋骨を遠距離から打ち砕いた。
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《封印フェーズ》
《SCORE:10》
《KILL:人間(低級)×1》
《SCORE精算フェーズ》
《SCORE:10>覚醒値:24》
《学習値:6》
《覚醒フェーズ》
《学習:『反射神経』(低級)》
《学習完了》
《覚醒、開始》
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スケルトンは1日後に研究室の中で目覚めた。あれから研究者の死体は回収され、スケルトンの死骸は部屋の隅に退かされた後、放置されていたようだ。
今なら警報は鳴っていない。だから部屋をすんなりと出ることが出来た。
《人間を蹂躙せよ》
魔王の命令が、スケルトンの空っぽの頭蓋骨の中で鳴り響く。
ただこの建物を脱出するだけでは無い。研究所にいる人間全てを殺すのだ。
スケルトンはその本能に刻まれた命令に従い、道中に見つけた部屋に入れば、部屋の隅に置かれた使い道も分からない鉄の棒で、次々と部屋の中にいる研究者を撲殺する。
確実に殺すために、頚椎をしっかりと狙って鉄の棒を突き出し、一撃で首をへし折る。
異常に気がつく研究者はまたしてもすぐさま警報を鳴らすが、すぐに殺される。
そして直ちに部屋に入ってくる警備員は、また躊躇いなく大型のパイルガンをスケルトンに向けて発砲する。
だがスケルトンはこれを寸前で、身を捻らせることで回避。
周囲の障害物構わず鉄の棒を振り回し、警備員を正面から殴る。
しかし警備員は普通の者らと違い、訓練されていたおかげか。スケルトンの攻撃を軽く受け流し、間髪入れずに頭蓋骨を打ち砕いた。
「魔物風情が……。これは異常事態だ。スケルトンの骨は回収するぞ」
「了解」
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《封印フェーズ》
《SCORE:50》
《KILL:人間(低級)×5》
《SCORE精算フェーズ》
《SCORE:50>覚醒値:29》
《学習値:7》
《覚醒フェーズ》
《学習:『戦闘技術』(低級)+5》
《学習完了》
《覚醒、開始》
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スケルトンは1日後にまた別の場所で目覚めた。何もなく、無機質で、真っ白な部屋。
部屋の天井四隅には監視
現在のスケルトンに武器はない。また知能も無いため、特に出口の見当たらない部屋では棒立ちするしかなかった。
そう暫く経つと、警報とは別の短いブザー音が鳴り、スケルトン正面にある白い壁が扉となり、開いた。
扉から現れたのは武装した兵士が3人いた。そして兵士はなんの説明もなく、無言でスケルトンに向かって大型パイルガンを発砲し、破壊した。
骸骨成長記録〜世界最恐の魔物になるまで〜 Leiren Storathijs @LeirenStorathijs
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