人魚のいる風景

 人魚の存在する世界。
 人格を持ち、言葉を喋る人魚達は、時には利用され、見世物にされ、食べられてしまう。
 共存、と呼ぶには余りに一方的な搾取なのだけれど、時には人間と友情を築き、恋をする。
 自由気ままな人魚にとって、人間側の損得など意識の外側なのかもしれない。
 静かで深い海のような、澄んだ寂しさを含む短編集。