第344話「女の子でも誰しもが理解するわけではない」


「これ・・・どうやって使うの?」



女の子はみんな理解します!


海老名歩夢の言葉を信じて、クリスマスプレゼントを蒼に渡す。


最初こそ喜んでくれたが、中身を見てその一言。



「それを俺に言われてもな・・・」


「いや、うん。めちゃ嬉しいんだけど、なんでこれ選んだの?」



そうなりますよね。



「女の子へのプレゼントで、良さげなものない? って相談したらこれになりました」


「誰に相談したの? 岩船先生?」



なんでその人の名前が真っ先に出てくるんだよ。


そう思いつつも、ここは9割本当のことを言う。



「海老名さん」



嘘はついていない。


だって二人とも海老名さんだから。



「海老名・・・さん? って、天文部の?」


「うん」


「なんでまた・・・そんな仲良かったっけ?」


「まぁ、部活同じだったし」


「ふーん?」


「なんですか・・・その反応は」


「いや? 別に?」



何か言いた気なご様子。


嫉妬のような何かを感じる。



「それで先輩、クリスマスプレゼントのこれは、どうやって使うんですか?」



原点回帰。原点復帰。


化粧やらなんやらと、蒼はそこら辺への興味がない。


高校2年生なのに・・・だ。



「えっと、化粧液と乳液だそうです・・・」


「なるほど・・・ググるか」



インターネットで調べて、何となくで使い方は理解した模様。



「今日から使ってみるよ」


「あ、うん」


「ところで先輩。もう一つ、クリスマスなら買わないといけないものがあるんじゃない?」


「え、なに・・・? ケーキ?」



海老名姉妹が買っていたので、頭の中に真っ先に思い浮かんだ。



「違いますよ」


「え、じゃあなに?」


「はぁ・・・先輩って男の子ですよね? もうちょっと、らしく振る舞うことはできないんですか?」



ケーキじゃないなら・・・。


というか、男らしくか。


そんなこと言われても・・・。



「えっちなことは、しないんですか?」



なるほど・・・そういうことですか。


何というか、前に何回か、こういう展開はあった。


最初こそ動揺してしまったが、もうそんなこともなくなっていた。


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