第334話「見知らぬ少女の正体」


見知らぬ少女に話しかけられた。



「えと、突然話しかけてすみません。村上さんとはお話がしたいと思ってて」


「あ、うん・・・少し訊いてもいいかな」


「はい」


「君と俺の接点は?」



海老名明音と名乗るツインテールの少女とは、今日がはじめましての人だ。


相談がどうこうはさほど重要ではなく、どちらかと言えば、どこに俺と彼女との接点があるのかが気になるところ。



「私との直接的な接点はないですけど、天文部に妹がいます」


「妹・・・? あ、歩夢さん?」


「はい」



海老名という苗字は聞き覚えがあった。


ウルフカットの1年生。


まさか、天文部にいる海老名歩夢の姉だったとは・・・。



「姉ってことは、年上ってことだよね?」


「2年生です」


「なるほど」


「あの・・・それでなんですけど」


「あれ? お姉ちゃんなにしてるの?」



明音が本題に入ろうとした矢先、妹の歩夢が登場。


なんというタイミングの良さ。



「あ、歩夢・・・」


「お姉ちゃん村上先輩と面識あったの? それともナンパ?」


「ち、違うよ」


「そうなん? 用事ないなら帰ろうよ」


「あ、うん」



内気なのか大人しいのか、そんな雰囲気の姉、明音。


対して、無駄に覇気を感じて明るい雰囲気の妹、歩夢。


姉妹が並んでみると、その性格は正反対に思える。


兄弟とか姉妹って、似るもんだと勝手に思っていた。


だが、目の前にいる姉妹を見てみると、案外そんなことはないようだ。



「じゃあ村上先輩、またね~」


「ごめんなさい村上さん、また今度、声をかけさせてもらいますね」


「あ、うん」



そんなことを言われ、そのまま姉妹仲良く帰宅。


明音の方は、俺に用があったっぽいけど、それは良いのだろうか。


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