第332話「言い訳はカッコ悪いよ」
3年生が部活を引退すると、すぐに中間テストがやってくる。
部活動は活動停止となり、学校が終わるとそのまま帰宅する。
だから最近の放課後は、自宅の部屋に引きこもる時間が長い。
イコール、蒼と二人でいる時間も長い。
「はぁ・・・」
最近、蒼がため息をすることが多くなった。
外ではそんなことはない。
こうして、部屋にいる時だけする行為。
「どしたん」
「なんか、辛いかも」
これは・・・何か抱え込んでいるのか?
「かも・・・って?」
「友達ができない・・・何というか、孤独」
蒼は元々半グレの人間。
その印象がまだ残っているのか、蒼は学校で独りぼっちなんだとか。
それは前々から聞いていたはなし。
蒼的には、友達を作って普通の女子高生として過ごしたいとか。
でも、現実はそううまくはいかない。
「蒼ってさ、普段教室でどんな感じなの?」
「うーん・・・やることもないし、机に伏せて寝てるか読書してるか」
「なるほど・・・」
俺も基本はぼっちで、クラスに友達がいるわけではない。
だから、人のことは言えない。
だけど、ぼっち歴が長いからこそ言えることがある。
「友達が欲しいなら、積極的に声をかけないと」
「それ、先輩が言います?」
100点満点の返しです。
「まぁそれはそれとして」
要するに、机で伏せてる人に対して、あなたは話しかけますか?
読書をしている人に対して、あなたは話しかけますか?
それも、ほとんど関りのない人に対して。
特に用事があるわけでもなく。
蒼はそれに加えて、元半グレという悪い印象まである。
「そっか・・・そりゃ話しかけられないわ」
「蒼の方から積極的にアプローチしていかないと、一生このままだと思うよ」
「でも、そんなことはできない・・・というか、怖がられちゃう」
蒼さん、案外コミュ障というか、人見知りというか。
半グレだった時代が嘘のような性格をしている。
「下に見られて舐められるよりかはマシじゃない?」
「そうかもしれないけど」
「まぁそんなに心配することじゃないと思うけど」
「よく言うよ、自分にもブーメラン刺さってるの分かってる?」
「もちろん。でも、俺は人付き合いとか嫌だからさ。蒼は違うだろ?」
「言い訳はカッコ悪いよ」
そういうことじゃないんですけどね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます