第320話「習慣化の賜物」
受験勉強というのは、継続力が求められる。
勉強が嫌いであり苦手な俺にとって、それは忍耐との勝負になってくる。
1日1時間。それができたら90分、120分・・・。
そうやって、徐々に勉強時間を増やしていった。
これは、岩船先生がそうした方が良いと言っていたので、そうしている。
その結果なのか、自分でも体感できるほど、勉強する習慣がついていった。
「こんな数字、初めて見た・・・」
1学期期末テスト。
受験勉強との兼ね合いということで、思うように両立することが出来なかった。
だけど、結果は上々。
これが、習慣化の賜物なのか・・・。
と、期末テストの結果が返ってきたその日、自分の部屋で騒いでいた。
「全教科で20点以上は伸びてますね」
「こんなのは初めてだ・・・」
「でも、まだ平均点ですよ」
元々、平均点より下の点数を取っていた。
だから、それが平均点程度まで点数を上げたのは、偉業でしかない。俺の中では。
「数学と名のつく教科で50点以上取ったの初めてだ」
「先輩それマジで言ってます?」
「あ、うん・・・まぁな」
嬉しさのあまり、色んなことを口から零してしまう。
言った後だが、今のはちょっと恥ずかしかった。
「とはいえ、先輩のその点数じゃ、まだ明坂大は遠いですよ」
「まぁ・・・そうなんですよね」
悲しきかな、目指す大学はまだまだ遠い。
平均以上の大学なので、定期テストで言うなら、平均点以上の点数を取るのが理想。
「とりあえず、2学期の中間テストでは、平均点のプラス20点は目指しましょう」
「全教科?」
「中間テストなので、全教科です」
「マジですか・・・」
「頑張ってくださいね」
「頑張るよ・・・でもさ、もうすぐ夏休みなんだから、ちょっとは遊びに行ったりしない?」
「そんな余裕あるんですか?」
「もしかして、夏休みはずっと勉強漬けですか?」
「それが良いとは思いますけど。でも、岩船先生の指示だとそんなことはないんですよね?」
「目標は1日2時間から2時間半。そろそろ3時間になりそうだけど」
勉強時間の目標は、日を重ねるごとに増えている。
最初は最低30分、目標1時間が設定され、今は最低という文字が消えて、2時間から2時間半が目標となっている。
「24時間あるうちの、たった3時間ですか」
蒼はそう簡単に言うが、実際3時間って相当長いですよ。
「今年の夏休みはお預けかな。受験が終わったらパーッと遊ぼうよ」
「蒼さんマジ鬼畜っす・・・」
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