第319話「虚構の2時間」


海老名とファミレスで食事をするという、予定外のイベントが発生してしまった。


家に帰るのが少し遅くなってしまったのも、そのためだ。



「おかえりなさい。ちょっと遅くないですか?」



と、部屋に入ると明らかに怒っている蒼の姿が・・・。



「いやまぁ、ちょっと色々あって」


「色々? 岩船先生とナニをしてたのかな?」



岩船先生・・・うーん、ここは、どう言い訳をするべきなのか。


蒼には、岩船先生の家で、勉強を教わりに行ってくると伝えてある。


実際にその通りで、昼間はそうしていた。


その帰り道に、海老名に会ったわけだが・・・。


海老名の話を、蒼にしてもいいのだろうか。


問題は、蒼と海老名の仲がどの程度のものなのか。


明らかに岩船先生よりは親しい仲な気はするが・・・。



「いやまぁ、やましいことではないからさ」


「ほんとですか?」


「ほんとほんと」


「なんか、イマイチ信用できないですね」


「俺を信じて?」


「まぁ先輩の言うことですから、信じますけど・・・ずいぶん長い勉強会でしたね」


「ま、まぁ」



うち、2時間ぐらいはファミレスで過ごしてましたけどね。



「まぁいいです。先輩が受験に真剣なことは知ってますから」


「ど、どうも・・・」


「それより先輩、もう遅いですから、お風呂入ってきたらどうです?」


「あ、あぁ。そうするよ」


「ちなみに、私も入ってないんですよね」


「じゃあ先に入る?」


「はぁ・・・そこは一緒に入る? じゃないんですか?」


「ここ俺の実家だからね? 俺の親いるんだからね?」


「だからなんですか?」


「そういうことはできません」


「いいじゃない! それとも、私の身体には興味ないの?」


「声でけぇよ!?」



興味あるとかないとかの話じゃないんですよ。


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