第314話「岩船先生の勉強法その3」
「どんな感じだ?」
と、ふわっとした質問をしてくる岩船先生。
例によって、彼女の家にお邪魔している。
今日は、受験勉強をはじめて2週間が経過した、ちょっとした経過報告をする。
それと、これから先の勉強方法や、2週間勉強して、分からなかったことなんかの相談会。
「いや、まぁ・・・だいぶ慣れてきたというか」
「勉強する習慣がついたのなら、この2週間は意味のある2週間だったわけだ」
「習慣はついたと思います。でも、1時間だけで足りてるんですか?」
勉強する習慣は確実に身に染みてきたと思う。
最低30分、目標60分という軽めの設定だが、最近ではその程度の勉強時間で足りるのか、心配になるぐらいには習慣ついている。
「これから段々と増やしていく。最初から何時間も勉強しろって言われても、すぐに飽きてしまうからな」
「なるほど」
これも慣らしってことなんですかね。
「参考書はやってるか?」
「はい・・・分からないことが多いですけど」
「多少は私に訊いても良いだろう。だけど、自分で考えて答えを導き出すことも重要だ」
「は、はい・・・」
「結局のところ、理系科目だって暗記の要素が強い。つまり、覚えちゃえばそこまで難しくないということだ」
「そうには思えないですけど」
文系科目。もっと言うなら、いわゆる社会科に相当する教科なら分かる。
あれはまごうことなき暗記科目だろう。
だけど、理系科目はそうには思えない。
「基礎が大事だ。最終的には、基礎を暗記して、それを応用するのが目標」
応用。理系科目が苦手な人にとって、その言葉はトラウマ級だろう。
これができなくて、何度テストで泣いたことか・・・。
「だから今は、ひたすら基礎を学ぶんだ」
「は、はい・・・でも、どこが基礎なんですか? 参考書の最初の方ですか?」
「まぁ間違ってはいない。とはいえ、正解でもない」
「何なんですか・・・」
「付箋貼ってやるよ。つぎの2週間は、ここを勉強しな」
そう言って、参考書のいたるところに付箋が貼られた。
ここが基礎と言うが、その量は基礎量とは思えないほどだ。
とはいえ、いずれはこの参考書を丸々1冊マスターしなくてはいけない。
これはその第一歩なんだ。
「分かりました・・・頑張ります」
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