第312話「岩船先生の勉強法」


岩船先生に教わったやり方で、受験勉強を本格的にスタートする。


1日1時間。最低でも30分は確実に勉強をする。


それが終われば、あとは自由だ。



「もう終わりなの?」


「うん。こんな感じでいいらしい」



受験勉強で、1日1時間。


一般的に想像する受験勉強のイメージとしては、かなり短い方だろう。


蒼もそこは引っかかっているようだ。


俺も蒼も高校受験を経験しているから、何となく受験のイメージはつく。



「受験って、数時間は勉強するものだと思ってたけど」



そのイメージはあながち間違ってはいない。


高校受験のときは、勉強が苦手な俺ですら数時間かけてがむしゃらに勉強をした。


そしてそれが実って、高校に入学することができた。


だから、そのくらいは勉強しないといけないんだという先入観がある。



「なんか受験に失敗する人って、大抵は勉強が習慣ついてない人らしい」


「それで?」


「だから、まずは勉強する習慣をつけることから始めるのがいいらしい」


「そう、岩船先生が?」


「うん」


「ふーん」



興味のなさそうな、無頓着な返事。


なんですかね、その反応・・・。


どんだけ岩船先生のことが嫌いなんですかね。



「まぁでも、1週間を1日に集中して勉強するより、毎日ちょっとずつ勉強するほうが、何となく効率がいい感じはするよね?」



と、これは俺の解釈。


習慣と効率は違う気がするが、効率という面も関わってくると思う。


効率のよい勉強をするために、習慣つけをする。



「まぁでも、理にかなってはいるよね。それがムカつくけど」


「蒼の嫌いな岩船先生は、あれでも教師だから」


「別に、嫌いじゃないよ?」



そこまで敵意を表に出しておいて、なぜ否定をするのだろうか。


意味が分からん。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る