第298話「目標は高らかに」


「歩夢ちゃんは、天文学のどんなことを学びたいの?」



と、夕凪先生からの質問。


他人の将来ビジョンは、自分と方向性が違っても参考になることがある。と、思う。恐らく。


だから、一応耳を傾けておく。



「そうですね。どんなこと・・・ってのはないんですけど、天文台の職員になりたいですね」


「天文台・・・って、あの丸いアイスクリームのてっぺんみたいな形してる施設よね?」



夕凪先生ちょっと天然出てませんか?


丸いアイスクリームのてっぺんですか。まぁ伝わらないこともないですけど。



「そ、そうですね」



ちょっと困惑気味の海老名。まぁ無理もないか。



「天文台の職員って、なにするの?」



と、これは俺からの質問。



「天体の研究や観測をするのが仕事ですよ」


「なるほど。楽しそうですね」


「ですよね。でも、なるのはちょっと難易度が高いんですよ」


「どんな感じなの?」


「調べた感じだと、大学で博士号以上が採用条件ってことが多いですね。そして、公務員試験に合格して、天文台への勤務を希望した人から選抜されるらしいです」


「あ、あれ公務員なんだ」


「ほぼほぼ国立天文台ですからね」


「まぁそっか」



研究職って時点で、公的な機関な場合が多いもんな。


でも聞いてる感じだと、相当な狭き門って感じ。


そんな難易度の高いところに挑もうとするのは、相当な熱量が必要になるだろう。



「ちなみに、学力は・・・」


「必死に勉強してます! 国立目指してるので!」



ちょっとちゃらけてそうな海老名だが、将来のことまでしっかりと考えているようだ。


何となくでここまで生きてきた俺とは大違いだな・・・。


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