第296話「3年のテストは1回が重い」
目標が決まらないまま、時間だけが過ぎてゆく。
高らかな目標が定まっている同級生たちは、6月に入ろうとしているこの時期でもう受験勉強に明け暮れている。
対して俺は、何もできていないのが現状。
やらなくちゃいけないという気持ちはあるものの、曖昧な目標で行動に出るほどの気力がないってのと、純粋に面倒くさ
いってのが勝る。
「先輩の性格からして、家から近いところがいいですよね?」
「まぁ・・・」
蒼はこの件に関していつも協力的だ。
色々と提案をしてくれて、本当に助かっている。
「ここから近いところですか・・・」
「地方の国立大ならあったはず」
「国立は難易度高そうですね」
「それはそう」
「ってなると、やっぱり電車で通う場所になっちゃうような」
「電車か・・・」
乗り方もイマイチ分からない俺に、毎日電車で通学しろと?
無理に決まっている。
「まぁ1年経ったら私と一緒ですから!」
「自信満々だな。まだ合格もしてないのに」
「それは先輩も同じです。でも、先輩が合格したらどんな手を使ってでも同じ大学に行きますから」
どんな手でも・・・ってのが、妙に恐怖を感じる。
正攻法でやるなら何でもいいですけど・・・。
「それと先輩、そろそろ中間テストですけど」
「知ってる・・・」
「勉強しなくていいんですか? 大学を決める指標になるって聞きますけど」
「まぁそう言う意味では、3年のテストは1回が重たい」
ちなみに指標になるのは2年の学年末テストだったりする。
まぁ3年の中間テストも然り・・・だが。
「中間テストの結果が出たら、見せあいっこしましょうよ」
「どうして・・・」
「先輩の学力が知りたいです!」
「バカです」
「そんなの、見ないと分からないじゃないですか」
「スミマセン」
これは勉強しないと・・・ですね。
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