第279話「天文と名のつく部活?」


学校の部活動は、ゴールデンウイーク手前まで仮入部期間となっている。


この間、1年生は好きな部活動を体験して、本入部に向けて吟味する。


夕凪先生が顧問になった天文部は、ここ2年間全くやらなかった勧誘というものを顧問が張り切ってしているようで・・・。



「体験入部の人連れてきたわよ!」



と、夕凪先生がちょくちょく1年生を捕まえては部室へ連れてくる。


仮入部が始まってから1週間。夕凪先生が連行してきた1年生は計3人。自主的にやってきた1年生は計0人。



「これさ、1年生入部してくれるかな?」



不安そうに口にするのは、下校途中の三永瀬蒼。


4月下旬とはいえ、まだ肌寒いのに彼女はスカートに上はブレザーだけ。


寒そうという俺の適当な感想を横目に、彼女は新入部員がやって来るのかを心配する。



「どうだろうね。新入部員ほしい?」


「部長を押し付けたい。先輩みたいに、3年までずっと部長はヤダ」



蒼は新入部員がほしいのではなく、部長を押し付ける誰かがほしいだけのよう。


とはいえ、夕凪先生が連行してきた生徒たち。


確かに天文部に興味を示している生徒たちだ。


しかし、第一希望の部活かと言われれば、多分違う。


何となくだが、入部はしないんじゃないかって思う。



「1人でいいんだよ。それでいいから、入部してもらわないと困る」



とのことです。



「蒼的には、どんな子がいいの?」


「どんな子? 1年生!」


「そういうことじゃなくてね」



新入部員が、どんな感じの子がいいか・・・みたいな質問。



「別に誰でもいいけど・・・ちゃんと星とかに興味のある人がいいかな?」


「切実だな・・・」



現状の天文部は、天文と名のつく部活にもかかわらず、星とかに興味のない人ばかりだ。


というか、蒼以外は全員そうだ。


顧問も、以前までの岩船先生は理科の先生で、天文学もすごい詳しい人だった。


しかし、夕凪先生に代わってからはそれもなくなった。


彼女は社会科の先生だし、星に関しても興味がある訳ではない。



「せっかく天文部なんだから、ちゃんと天体観測とかそういうのしたいし。一緒に話せる友達も欲しい」


「現状、蒼ぐらいしか星に興味のある人いないもんな」


「そうだよ!」



果たして、新入部員は来るのでしょうか。


そこはもう、神に祈るしかないかな。


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