第278話「進路希望」


高校3年生。高校生最後の年であり、受験生の年でもある。


今まで将来について何も考えなかったが、そろそろ考えないといけない時期なのかもしれない。



「うーん・・・」


「先輩、どうしたんですか?」


「あ、いや。これだよ」



我が家に当たり前のようにいるのは三永瀬蒼。


自分の部屋で進路希望の紙と睨めっこしていたところ、不思議そうに寄ってきた。



「進路希望ですか」



進路希望と言っても、進学か、就職か。の、簡単なやつ。



「どうしようかなって」


「進学しないんですか?」


「なんか、将来のこと何も考えられなくて」



計画性がないとはまさにこのこと。


というより、やりたいことが全くない、が正しいのかもしれない。


ニートという手もあるが、それは親が許さないだろう。


どうせ仕事をするなら、なるべく心の負担が少ない仕事が良い。


つまり、つまらなく興味のない仕事じゃなくて、少しでも自分のモチベーションにつながる仕事。


でも、その仕事が何だか分からない。



「先輩は、先のこと考えすぎなんじゃないですか?」


「そうなのか?」


「大学に行って、就職なんてそこから考えればいいんですよ」


「なるほど」



大学に在学する4年間に決めるというわけか。


それも一つの手かもしれない。


まぁ今までふわっと生きてきた人間だからな。


それが一番お似合いなのかもしれない。



「大学決まったら言ってくださいね。私もそこ行きますから」


「あ、そうなん? 別に同じじゃなくても」


「ダメです!」


「ソウデスカ」



大学か。そうなると、受験のために勉強しないとなんだよな・・・。


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