ChapterⅦ

第274話「新たな顧問」


蒼への疑心暗鬼が消えて、彼女と過ごす日々がちょっとだけ楽しくなった。


何気ない日常に、ちょっとだけ刺激が加えられたようだった。


そんな風に思っていると、あっという間に春休みが終わる。


新学期。俺は高校3年生になった。


始業式やクラス替え。色んなイベントが発生するこの日だが、同学年に友達がいない俺からすれば、どうでもいいこと。


強いて言うなら、若干関わりのある暁匠馬は今年も同じクラスでしたってことぐらい。


流れ作業のような始業式。進路や受験のことに重きを置いたHR。


それらが終わり、部室へ向かう。



「あら、友彦くん久しぶりね」



部室のドアを開けると、そこには夕凪先生の姿があった。



「あ、どうも」


「今年は私が顧問よ」


「あ、そうなんですね。よろしくお願いします」



夕凪先生は個人的に苦手な先生。


性格は優しくほんわかとしている女性の先生で、基本的に人当たりが良い。


だからこそ、周りには色んな生徒が集まってくる。


だからこそ、苦手な先生。



「こんにちは・・・」


「あ、蒼ちゃん!」


「え・・・どうも」



ここで三永瀬蒼が入室。


ここに夕凪先生がいるとは思わない蒼は、ちょっと困惑気味。



「とりあえず、これで全員ね」



と、夕凪先生。


どこから匂いを嗅ぎつけたのかは知らないが、俺より先にいたのが暁匠馬。


彼は夕凪先生がいるところによく出没する。


ゆえに、岩船先生がいた時代の天文部には滅多に現れなかった。



「ということで、前任の岩船先生から引き継いで、これからの天文部の顧問は私、夕凪奈琴が担当させていただきます」



と、そういう説明。


教師を辞めてしまった岩船先生に次いで、夕凪先生が天文部の顧問となりました。


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