第268話「健康的な春休み」


いつの間にか、カレンダーをめくって4月になる。


長いようで短い春休みも、残りわずかになってしまった。



「先輩!」



その日は、やけに機嫌の良い蒼に起こされて1日が始まる。



「なんだよ・・・もう」


「ほら、起きなよ」



布団をはぎ取られるので、毎回渋々起き上がる。


こうやって毎朝たたき起こされるせいで、この春は昼夜逆転せずに済んでいるところはある。



「先輩!」


「なに?」


「行きますよ!」


「どこに?」


「遠くです!」



なんか嫌な予感がした。


とりあえず準備をしとけと言われた。


その間、蒼はどっかに行ってしまった。


しばらくすると、けたたましいエンジンの音が近づいてくる。


何となく察してはいたが、音の正体は蒼が所有しているバイク。



「せんぱーい!」



家の目の前で停車したバイクから、蒼の叫び声が聞こえてくる。


今日はどうやら、ツーリングに出かけるようです。



「はいはい・・・」


「これ、ヘルメットね」


「あ、うん」



気乗りしないが、渋々家を出る。


すると早く乗れとせかされたので、いつかの日のように、バイクの後ろ側にまたがる。



「じゃあ行くよ!」



妙にハイテンションなまま、ツーリングは始まった。


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