第257話「親子の会話」


蒼が風呂に入ってる最中。部屋で小説を読んでいた。


ふと喉が渇いたので、自分の部屋から階段を下りて、リビングの先にある台所まで向かう。



「どしたん?」



台所に行くと、夕食の用意をしている母の姿。



「喉乾いたから」


「そう・・・あ、そうだ友彦」


「なに?」


「蒼ちゃんの件なんだけどさ。うちに泊まるのは良いんだけど、蒼ちゃんの親はどう思ってるの?」



そういう感じの話か。


なんというか、俺と母ってやっぱ親子なんだな。気にするところがほぼ同じ。



「あー、あっちの家庭、結構良くないらしいよ」


「あら、そうなんだ・・・」


「だからこっちに避難してるって感じ?」


「私たちが変なことに巻き込まれなきゃいいけど」


「それは分からないけど、家に帰ってこないことに対しては放置してるみたいだから、大丈夫じゃね?」



もちろん確証はない。だから保証もできない。


ヤンキーグルでグレてるのと、俺の家に居候しているのとでは話が変わってくる。


まともじゃない人間に、常識とかマナーとか、普通・・・みたいな話は通用しない。


何を言ってくるのか分からないのが正直なところ。



「友彦は、蒼ちゃんと暮らすって感じでいいの?」


「暮らすわけではないだろ」


「ほぼ同じことじゃないの? 最近いっつもうちにいるじゃない」



その通りすぎる。


まぁほぼ同棲してるようなもんだよな。


もちろん一人の時間は欲しい。


俺は元々ぼっちだったわけだし、そういう時間も長かった。


だから、落ち着くのは一人でいるとき。


だけどな・・・。



「蒼のことが心配だし、蒼がここに居たいって言うなら、ここに居させてあげたい・・・かな」


「なるほど。あんたも男っぽくなったわね」


「うるせぇ」


「あと、男として責任ある行動をしなさいよ」


「分かっとるわ!」


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