第250話「決してやり直せない選択肢」
「それで先輩、先輩は私のこと、どう思ってますか?」
蒼からそんなことを訊かれる。
これは適当なことは言えない質問。どう答えるかは、慎重に考えないといけない。
「えっと・・・難しい、かな」
「そうですか。やっぱり先輩は、私のこと何とも思ってなかったってことですね」
「いや、そういうわけじゃ」
「良いんですよ。仲良くしてくれてましたし、それだけでも楽しかったですから」
なんか切ないというか、寂しいというか。
俺みたいな人間のどこがいいのか、疑問でしかない。そればかりが思考の中で先行してしまう。
でも、好かれていて悪い気はしない。むしろ・・・。
「気持ちは、すごく嬉しい」
それは、正直な気持ちだ。
でも、それ以上の感情はない。これも事実だ。
「そうですか。それなら良かったです」
そうとしか言わない蒼。
どういう言葉をかければ正解なのか、どういう行動をすれば正解なのか。
全く分からないし、分かったとしても行動することができるかは別のお話。
「・・・なんだろ、胸が苦しいよ」
ため息をすると、そんな言葉が蒼の口から零れる。
「一人になる? おれ、出ていくけど」
「そんなことしないで下さい。余計なお世話です」
「ごめん・・・」
これから先、蒼との関係はどうなるのだろうか。
今まで仲がいい友達としてやってきた。
これからはどうなるのだろうか。このままの関係でいられるのだろうか。
友達なんていらない。そう思ってきた俺の十数年という短い人生。
いざ、蒼みたいに一緒にいて楽しいって思える友達ができると、やっぱりそういうのって良いよねって思える。
多分、今しかタイミングはないんだと思う。
アドベンチャーゲームだって、一つ選択を間違えると、違うルートにいってしまう。
それと、同じなんだろう。今の状況は。
「蒼・・・さ」
「なに?」
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