第245話「新しい世界の開拓」
よく晴れた日だ。青空に真っ白な雲がかかり、それが風に乗って動いている。
静かな日曜日の日中。いい天気とはいえ、季節は冬。とても外出する気にはなれない。
「ゲームでもしますか?」
俺が余計なことを言ってから、蒼のテンションはダダ下がり。
無理して振舞っていたのなら、それはストレスになるからこれで良かったのだと思う。
だけど、その代償としてただただ気まずい雰囲気が流れる。
「げーむ・・・?」
「俺が教えるよ。気に入るかは別だけど」
何もやることがないし、お互い黙っているだけなのも気まずいだけ。
ということで、俺の部屋でもできることを提案する。
まぁ、ゲームしかないんですけどね。
「どんなゲーム?」
「えっと・・・まぁシューティングゲームですかね。FPSってやつです。おれ、そう言うのしか持ってないです」
「先輩は、そのFPSってゲームが好きなんですか?」
「まぁそうだね。それ系のゲームが好きだね」
「じゃあ、やってみます」
何とか食いついてくれた。
他にやることもないし、家にこれぐらいしかないのが申し訳ない。
「じゃあ、まず操作方法から・・・」
それから操作方法とか、ゲームのルールとか、色々を教えていった。
最初からPVPで歴戦のクソあほプレイヤーと対戦するのは無理があるので、最初はNPCを相手にするモードで慣れてもらう。
「難しい・・・」
「まぁ、最初はそんなもんだよ」
苦戦する蒼のうしろ姿。
女子がFPSをやってる姿はそこそこレアな光景だ。
そもそもFPSってのは、男女比率99.9:0.1ぐらいの界隈だからね(※偏見)。
「・・・」
「・・・」
NPCを相手に、俺と蒼の二人で対戦する。
初心者の蒼をベースに、ヤバそうなところがあればカバーに入るのが俺の仕事。
二人とも終始無言だった。それは、ゲームを始める前の気まずい状況とほぼ同じ。
でも、自然と気まずさはなかった。
蒼がそれだけ、ゲームに集中しているということ。
何かに没頭できるって、良いことだと個人的には思う。
「んー・・・おわった!」
「すげぇ上達したな」
「これ、意外と楽しい!」
「またやろうな」
「うん!」
気に入ってくれたようで、何よりです。
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