第240話「二度あることはルーティン化する」


蒼が突然俺の家にやって来た。


何の前触れもなく、本当に唐突に。


それはそれでいいのだが、その次の日も・・・。



「おはようございます!」


「また来たの?」


「はい」


「またこんなに早く?」


「はい」



蒼は、また朝早くにうちに来てしまった。


仕方ないので、昨日と同様に部屋にあげる。



「やっぱここ、落ち着きますね」


「俺は自分の部屋に蒼がいると落ち着かないよ」



イヤというわけではないが、やっぱ自分の部屋で他人がいるのは落ち着かない。


その蒼は、他人の家とは思えないほどくつろいでいる。


制服のまま寝っ転がり、近くにある漫画を読みながらゴロゴロと。



「シワつくぞ」


「別に気にしませんし」


「そ、そうか・・・。まぁおれ着替えてくるから」


「また違うところで着替えるんですか?」


「いや、蒼がいるからでしょ」


「私は気にしませんよ?」


「俺が気にするわ!」



そんなに俺の着替えをみたいのかよ。


なんか、男女の立場が逆転したような感じ。


普通は言う方が逆だよね。


俺が蒼の着替えを見たいとか言ったら、彼女はどんな反応をするのだろうか。


まぁそんなこと言いませんけど。



「っていうか蒼さん」


「ん?」


「明日も来る気?」


「来てほしい?」


「もう少し遅い時間帯で、なら」


「今日と同じ時間に行くね!」



俺の話聞いてた?


これはルーティン化する予感。


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