第238話「早朝の訪問者」


朝起きると、毎回身体がダルい。


これから学校に行くというだけで、身体が拒否反応を起こしているようだ。



「はぁ・・・」



朝から大きなため息をする。


白い息がふわーっと、自分の目の前に写り込む。


重たい身体を立ち上がらせ、そのまま洗面所まで向かう。


顔を洗って、髪を整えて・・・と、そんなことをしていると、インターホンの音が家に鳴り響く。


こんな朝早くに誰だろうか。そんなことを思いながらも、対応するのは母親だ。


玄関の方へドタドタと歩く音がする。そして、玄関の扉が開く音。


俺は朝食を食べようと、台所へ移動する。


その途中、洗面所から廊下に出たタイミングで、母親に呼び止められる。



「なに?」



返事をして、玄関の方を一瞥する。



「あ、おはようございます!」



玄関には、うちの母親とその横に、三永瀬蒼の姿があった。



「え?」



コートにマフラー、手袋までして防寒対策はばっちり。


ただし下はスカートで肌も見えており、なんでそこだけ寒そうな格好なのだろうと疑問に思う女子高生の格好だ。



「迎えに来ましたよ」


「早くない?」


「早めに来ました!」


「まだ何も支度してないんだけど」


「そうなんですか・・・」



今起きたばかりだからね。


まだ登校するには1時間以上も早い時間帯。


今から家を出たとするなら、登校時間の1時間前には学校に着いてしまう。


そんな早くに学校に行ったところで、何もすることはない。



「先に行ってていいよ」


「いえ、先輩と行きますので。外で待ってますよ」


「ならさ、あんたの部屋で待たせたらいいじゃない」



と、余計な一言を言ったのは母氏。


外は寒いんだから。と、そう付け加える。



「え、いいんですか!」


「いいわよ。汚い部屋だけど、そんなところでよければ」



汚くてもそこは俺の部屋だよ。


そんなところとは失礼な親だ。



「ありがとうございます!」


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