第237話「どのみち選んでも地獄のみち」


「ニートになるって、本気で言ってるんですか?」



下校中、再びその話題。


そんな問いかけをする蒼に対して、はっきりと言えないのが現状。



「ニートはさすがにね・・・」



さすがにニートになるわけにはいかないが、それがベストであることに違いはない。



「先輩の親は、ニート許す人なんですか?」


「多分追い出される」



ニートを許す親なんて、ロクなもんじゃない。


そんな親は滅多にいないと思う。


就職は無理にしても、フリーターとして働くことはしないといけない。


それぐらい、俺にだってわかっている。


が、それが簡単に出来たら、苦労はしないんだよね。



「家を追い出されるなら、頑張るしかないじゃないですか」


「そうなんだけど、うーん・・・」


「まずは就職か進学か、ですね」


「働くのは嫌だな」


「なら進学?」


「それはそれで嫌だ」


「わがままですね、先輩」


「家から出たくないからね」


「でも、高校にはちゃんと来てるじゃないですか」


「そうしないと、卒業できないからね」



不登校でも卒業できるなら、もう二度と学校になんて行かない。


だが、不登校だと卒業できないのが現実。



「なら先輩は、仕方なく学校に来てるんですか?」


「そうだな」


「部活も強制加入だから天文部に?」


「うん。俺が1年のときは、部員が俺しかいなかった。だから良かったんだ」


「わたし、邪魔だったんですね」


「あいや、そんなことはないけど」



落ち込んでしまった。


こういうことがあるから、人間関係は嫌なんだ。


事実を言っているだけなのに、なぜか悪者にされることがある。


くだらない世の中だ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る