第236話「遠い将来のこと」


期末テストと言われても、やる気が起きなかった。


来年は高校3年生。受験生ということになる。


今回の期末テストの結果は、進路先の候補を炙り出す一つの指標になる。


なので、ガチって勉強してる奴もいるが、俺はそうではない。



「先輩、勉強しなくていいんですか?」



放課後の部室。部活動はテスト前なので活動停止だが、部室は勉強のために岩船先生が解放してくれている。


まぁそれは建前で、岩船先生はソファーでくつろいでいるだけだし、俺も机に向かってはいるものの、勉強には手をつけていないという状況だ。



「なんだかなぁ・・・」


「村上はどんな進路を想定しているんだ?」



と、これは岩船先生。


そんな彼女は、ソファーでくつろぎながら、コーヒー片手に読書をしている。


だけど、こうして俺らの会話は地味に聞いているよう。



「進路・・・ですか」



進路は正直なにも考えていない。


大学、就職・・・。あるいは短大か専門学校か・・・。


なんせ夢ややりたいことが存在しないわけで、そうなると必然的に進路先も浮かばないわけである。



「何も決まってないんですね」



と、蒼が。


その通り過ぎて反論の余地もない。



「今のうちから想定しておかないと、結構まずいことになるぞ」



教師の立場からの発言だろうか。


でも、実際にその通りだとは思う。



「どこ行くのが良いんでしょうね」


「それは村上本人が決めることだろう」


「それはそうなんですけど・・・はぁ、ニートになりたい」


「それだけはやめておけ」


「そうですよ。先輩!」



この場にいる女性二人(岩船先生・三永瀬蒼)から猛反対をされてしまった。


まぁニートは良くないってのは分かっている。


でも、やりたいことがなさ過ぎて何も決められない。


どうすればいいのだろうか。


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