第233話「突拍子の行動」


ある日のこと。いつも通りに部室に向かうと、中からガサゴソという物音がしていた。



「失礼します・・・」



と、一応そんな言葉を口にしてから部室の扉を開ける。


すると中には、岩船先生の姿が。まぁ予想していた通りだが、今日の先生はいつもと違う行動をしていた。



「何してるんですか?」


「ん? あぁ、村上か」



一瞬振り返って、また作業に戻る。


先生は部室にある備品などを箱にしまう作業をしている。



「手伝いましょうか?」


「今は大丈夫だ」


「あ、はい。これ、何してるんですか?」



と、同じ質問をする。


先程はスルーされてしまったが、今回は作業をしながら答えてくれた。



「片付けだ。ここは私の私物が多すぎるからな」


「ここにあるの、岩船先生の私物だったんですね」



備品だと思っていた数々の品。まさか岩船先生の私物だったとは・・・。



「散らかし放題にしていると、上から怒られるからな」


「今になって、どうして片付けてるんですか?」


「思い立ったが吉日だよ、村上」



片付けようって気になったから片付けてる。


まぁ理由としては成立している。


俺もそういう時があるから、それが理由なことに不信感はない。


テスト前で、勉強がしたくないから・・・とかではなく、なんか突拍子もなく片づけをしようって気になれる日がたまにある。



「部活で使いたいものとかあるか? 残しておくが」



と、岩船先生。



「うーん・・・俺じゃ判断できないですね。三永瀬さん来ないと」



俺は天文部に意欲的に取り組んでいるわけではない。


天文学に関してもさっぱり。


部室にある備品も、どうやって使うのか、何のためのものなのか、それすら分からないものがほとんどだ。



「そうか。なら、三永瀬が来るまで待った方が良いのかな」


「この私物、持って帰るんですか?」


「そりゃ、学校に置くところはないからな」


「それって、岩船先生が学校を辞めるから・・・とかなんですか?」


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