第232話「関係の境界線」
「岩船先生は、村上先輩に好意を寄せてるんじゃないんですか?」
そんなことを言われても、恋愛に関しては点で分からない。
とはいえ、岩船先生とは10年近くも歳が離れている。
しかも彼女は、恋愛とか色恋沙汰とは無縁って感じの存在。
「俺みたいな人間に好意を寄せるものか?」
その疑問が生まれる。
「先輩は、相変わらず自己肯定感がなさすぎます」
「う・・・でも、夕凪先生も言ってたでしょ?」
教師から見て、生徒は子供にしか見えない。幼く見える。と・・・。
夕凪先生の詳しい年齢は知らないが、恐らく岩船先生より若いかそれと同じくらいだろう。
生徒との年齢差がより小さい夕凪先生がそう言っているのに、岩船先生が生徒に好意を抱くだろうか。
「でも、私は不安です」
「何が不安なの?」
「村上先輩が、岩船先生のことが好きなんじゃないかって」
そんなことを言われても・・・って感じだ。
蒼はやたらと俺と岩船先生の関係に対して言及してくる。
やましいことがある訳ではないが、なぜそこを疑っているのだろうか。
「俺は岩船先生のこと、先生としてしか見てないですよ。まぁ多少は仲が良すぎるって感じはしますけど」
「その言い方だと、先輩は仕方なく岩船先生と人間関係に付き合ってるってきこえますけど」
「じゃあ訂正。多少仲が良いなぁって思うタイミングがある。でも、それはそれでいいと思っている」
「嫌じゃないんですね」
「嫌なことはされてないしな」
「じゃあ、私との関係はどうなんですか?」
「友達・・・って認識でいいですか?」
「なんで疑問を投げかけるんですか?」
「あいや、友達ってあんまりできた試しがないからさ。どこからが友達なのか分からなくて。もしかして、違った?」
「違くはないです。今の私と先輩は、友達って関係だと思います」
「なら良かった」
「私は、良くないです・・・」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます