第231話「用件の済んだ邪魔者」


ゆく当てもなく歩いていたら、蒼と遭遇。そのまま蒼も付いてくることになった。


それから間もなくして、駅前に到着。



「さて、私はここいらで帰りますかね」



と、友奈がそんなことを言い出す。



「あ、帰っちゃうんですか?」


「二人の邪魔しちゃ悪いし」


「別に、遠慮する必要はないですよ?」



と、俺と友奈の会話。


まぁ用件は済んだわけだし、帰る正当性はある。


とはいえ、ここまでそれなりに長い時間をかけて来てくれたわけだし、用件が済んだから速攻で帰るのも味気ないというか、申し訳ないというか。



「私は邪魔者だからね。今度はこっちの方にも来てよ!」



そう言って、軽く手を振る。


そうしたら、改札の中に入ってそそくさとホームの方へ行ってしまった。



「先輩?」



残されたのは、俺と蒼。



「ん?」


「あの人、本当に岩船先生の従兄弟なんですか?」


「そうだな」


「仲が良いんですね」


「あれは友奈さんが気さくなだけだと思うけど」


「普通、教師の親戚と面識があるなんておかしいと思います」


「まぁ、そうだけど」


「そんなに岩船先生のことが好きなんですか?」


「違うよ?」


「第三者から見て、そうとしか思えないです」


「うーん・・・そうなのかな」



距離が近いと言われれば、それは間違いないと思う。


岩船先生と俺は教師と生徒。


その関係で旅行や先生の実家に行ったり、そこで泊まったりなど、するはずがない。



「岩船先生は、村上先輩に好意を寄せてるんじゃないんですか?」


「・・・そうなのかな」


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