第229話「街中でばったりと」
あれから色々話したが、結局のところ、友奈から有益な情報を得ることはできなかった。
本人に訊いてと、そう言われただけ。
今は、その友奈とカフェを出て道を歩いてるところ。
車一台がやっと通れるぐらいの生活道は、地元民だからこそ知っている抜け道。
ここを通って行き先は特にないが、何となくで駅の方へ歩いている。
「あれ? 先輩?」
と、そんな声。
正面から歩いてきたのは、低身長で見覚えのある少女。
黒のカーディガンに白のパンツ。ショルダーバッグを肩からかけている小柄な少女は、三永瀬蒼。
「あ、どうも・・・」
学校外で会うなんて珍しい・・・。
「先輩、その人誰ですか? カノジョですか?」
「いや、違いますけど」
なんで真っ先に恋人を疑うんですか・・・。
俺と友奈。年齢も離れているが、それ以上に身長差が結構ある。
どこをどう見ても恋人同士に見える感じではないはずだが・・・。
「友くん、この子カノジョ?」
「なんで友奈さんまで!?」
友奈まで真っ先に恋人を疑う始末。
何なんですか、この人たちは・・・。
「えっと、こちら友奈さん。岩船先生の従兄弟だよ」
「はえー」
「んで、この人が三永瀬蒼さん。天文部の部員で、俺の後輩」
「はえー」
二人して興味なさそうな反応しないでほしい。
すげぇ気まずい雰囲気になるじゃないか。
「可愛いカノジョいるじゃん、友くん」
と、小声で話しかけてくるのは友奈の方。
「違います」
「またまた~」
「先輩、こんなところで何してたんですか?」
と、今度は蒼の方から・・・。
「あいや、普通に歩いていただけ」
「デートですか?」
「違います」
この人たち、普通に面倒くさい。
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