第228話「親戚のおばさんみたいな」
岩船先生が天文部の顧問に復帰したのは、今年の1月から。
しかし彼女は、以前に3月で教師を辞めるかもしれないと宣言している。
かもしれない・・・ということで、まだ曖昧な感じではある。
「話せる範囲でいいので、教えてくれれば・・・と」
「うーん・・・そうだなぁ」
と、頭を悩ませるのは、岩船先生の従兄弟である飯田友奈。
彼女と普段顔を合わせることはほぼないが、連絡先は知っている。
今回の件に関しても、最初はチャットで送ったのが始まり。
岩船先生が教師を辞めると言った背景を知りたかった。
だが、話を始めて早々に「会って話そう」と向こうから言ってきた。
と、そんな経緯があって、今は我が家の近所にあるカフェに来ている。
「いきなりの話だったし、正直岩船先生って謎が多い人なので」
「佳奈美ちゃんってそんなにナゾナゾな人なの?」
「まぁ・・・」
どちらかと言えば、謎が多そうな人。
「でも、その件に関しては私からは話せないかな」
「そうですか。というか、ならなんでわざわざ顔合わせしたんですか?」
話せない。そう言うだけなら、チャットでも良い気がする。
「え? 別にいいじゃん」
「えぇ・・・」
「たまには友くんの顔も見たいしさ」
「そ、そうですか」
「元気そうでなにより」
「おかげさまで」
「たまにはうちに遊びに来なよ」
「はい・・・」
やりとりが完全に親戚のおばさんとの会話だ・・・。
「友くんは最近どう?」
「どう・・・と、言われましても」
「好きな子とかできた?」
「いえ」
「友くん恋愛感情なさそうだもんね」
と、友奈の呆れた声。
「そう言う友奈さんも、あんまり色恋沙汰は耳にしませんけどね」
「私はそう言うキャラじゃないからね」
「それはこっちも同じです」
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