第223話「長期休みの最終日」


1週間弱は蒼の別荘に滞在しただろうか。


久しぶりに我が家に帰宅。


蒼には、「何かあったら必ず連絡して」と、そう言っておいた。


それを了承する返事もしてくれたので、一人で抱え込むようなことはない・・・と、思いたい。


悩みって、人に簡単に相談できることではない。


どれだけ周りがサポートしてくれても、一人で抱え込んでしまうことは多い。


どれだけ彼女に寄り添っても、やっぱり不安はぬぐい切れない。



『と、そんなことがあったわけです』



久しぶりに帰宅したということで、久しぶりに岩船先生に連絡。


元日の明けましておめでとうからほとんど連絡をしていなかった。


とはいえまぁ、普段から連絡をし合う仲というわけでもない。


今回は何となく、先生に連絡をした。ただそれだけのこと。



『それ、私に話していいのか?』


『概要だけなので・・・』



岩船先生には、大まかな概要だけを話した。


話す必要があるとは思えないが、蒼の精神状態を考えると、俺だけでは役不足感が否めない。


他人の助言はほしいところ。


蒼がこれを望んでいるかと言われれば、それは絶対に望んでいないだろう。


でも、取り返しのつかないことになる前に、どうにか地盤は固めておきたい。



『ところで村上』


『はい』


『うちの高校は、バイク免許の取得は禁止だぞ』


『そこは目をつぶってください』



それを言うなら、蒼はこれまでに校則をいくつ破ってきたんでしょうね。



『まぁいいが。それにしても、今度は三永瀬か』


『今度は・・・?』


『お前はいつも厄介事に巻き込まれるからな』


『それは岩船先生も同じでは?』


『はて?』



珍しくとぼけたようなことを言いますね・・・。


もしかして、上機嫌だったりするのだろうか。


まぁそれはどうでもいいとして、明日から学校が始まります。



「はぁ・・・憂鬱だ」


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