第218話「雪の降り始め」


1月3日。正月特有の特別な雰囲気も薄らぐ頃。


今まで晴れていた外の天気が、ここにきて雪に変貌した。



「先輩、雪ですよ」


「ほんとだ・・・積もるのかな」


「積もったら、かまくらとか作りたいです」



ニコニコとした表情で言うその姿は、まさに無邪気そのもの。


しかし、雪が積もれば帰れなくなる危険性をはらんでいる。


ここまでは、蒼のバイクで来ている。


雪道を二人乗りで、しかも初心者の蒼に運転させるのはかなり危険だ。



「ひどくなる前に、買い物行かないとまずいかもな」


「あ、それもそうですね。予報だと、明日も雪らしいですし」


「明日まで雪なのか・・・」



かなり長い時間降り続くようだ。


まだ降り始めで、雪がパラパラとゆっくり降っている感じ。


もちろん積もってはいない。


が、これがあと2日間続くとなると、かなりの量が降ることになる。



「この近くのお店って・・・どこかな?」



3日間蒼の別荘で過ごして、そろそろ食糧の在庫がなくなる頃。


なので、雪がひどくなる前に買いだしに行かないといけない。



「うーん・・・どこでしょう。調べますね」



蒼がスマホで近くの店を調べてる間、俺は買った品物を入れる袋や財布の中にある現金の残高を確認したりする。



「先輩。この近くだと数キロ先にスーパーがありますよ。コンビニもその近くですね」


「どの道遠いな」


「バイク出しましょうか?」


「いや、雪の中だとバイクはヤバいでしょ」


「まだ積もってないし、多分いけますよ!」


「危ないので歩きますよ」



蒼のその自信はどこから出てくるのだろうか。


徒歩で買い物に行くとなると、蒼は寒いから留守番でも良いけど・・・と、一言かけておいた。


が、一緒に行くと返してきたので、二人で別荘を出ることに。


数キロ、徒歩での移動です。


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