第214話「年始の挨拶」


『明けましておめでとう』



と、そんなメッセージが届いた。


送信者は岩船先生。



『あけましておめでとうございます』


『今年もよろしくな』


『よろしくお願いします』



と、そんな典型的なメッセージをかわす。



『村上は年末年始、どうしてた?』


『三永瀬さんに誘われて、ひたすらバイク乗ってました』


『村上ってバイクの免許持ってたのか?』


『いえ、後ろに乗ってただけです。運転は三永瀬さんが』


『そうか。死ぬなよ』


『そうですね・・・死にたくはないです』



昨日の運転を後ろから見ていると、今でも恐怖を感じる。


何度も死が見えたよ。



「なになに? 女か?」



煽るような蒼の声。


岩船先生とメッセージをやり取りしていると、背後から覗き込んでくる。



「いや、岩船先生ですけど」


「相変わらずね」


「何がですか」


「仲いいなぁって」


「そうですかね?」


「そうですよ。さっさと付き合っちゃえ」


「いやいや、俺と岩船先生はそんな関係じゃないって」


「お互い鈍感だとこうなるのね・・・」



お互いって・・・。


まぁ岩船先生はどう見ても鈍感だろう。


んで、俺も鈍感と言われて否定することができない。


しかし、俺が岩船先生のことを女性として、恋愛として好きだと思ったことは一度もない。


これが事実であり現実。


確かに距離は近い気もするが、別に一線を超えてるわけでもない。



「茶化さないで下さい」


「はいはい。村上先輩は童貞クソ陰キャでしたね」


「悪口!?」


「サー?」


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