第206話「お酒でも飲みます?」


蒼の摩訶不思議な言葉に翻弄されながらも、とりあえずシャワー浴びてくると言ってこれを回避。


とはいえ、シャワーを終えてリビングに戻ると、そこにはまだバスローブ姿の蒼がいるわけで・・・。



「どうだった?」



と、そんなことを訊いてくる。


シャワーの感想だろうか。


んな、温泉入ったわけでもないのに・・・。



「気持ちよかったです」


「そか」



さて、俺はどうしたらいいのだろうか。


この空間には、二人掛けのソファーと少し離れた場所に4人分の椅子があるダイニングテーブル。


ソファーには蒼がいるので、何となくでダイニングテーブルの方に向かう。


が・・・。



「こっち来なよ」



と、手招きされる。


その時の蒼の笑みは、獲物を誘い込む肉食動物のような印象。


何と言うか、ちょっと怖いです。



「あ、うん・・・」



相変わらずおどおどとした反応をして、これまたおどおどとした挙動で蒼の隣に腰かける。


至近距離にいる蒼の姿はバスローブを身にまとっているだけ。


しかも彼女はくつろいでいる。


普通に座っているだけならまだしも、足を崩して身体もひじ置きに寄りかかっているような状況だ。


バスローブの下にどんな光景が広がっているのかは知らないが、チラチラと見える太ももや胸元を一瞥するところ、恐らく何も着てないのだろう。


はぁ・・・心臓に悪い。



「先輩、お酒でも飲みます?」


「いや、俺たち高校生だよね!?」



ソファーに座った瞬間にされた質問だった。



「飲まないんですか?」



なんで飲むことがさも当然かのようにそんな質問をするんですか。



「私は飲もっかな」


「明日も運転するんじゃないんですか?」


「しないなら飲んでいいの?」


「明日帰らないんですか!?」


「このままここで暮らしてもいいわよ?」


「ナンデソウナルンデスカ」



もしかしたら彼女、もうすでに酒入ってるんじゃないか?


とか思ったけど、バイクで後ろに乗ってるときからこんな感じだったのを思い出した。


蒼はどうして、こうも帰りたがらないのだろうか。


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