第204話「三永瀬家の別荘」


町外れにあったのは、木製のペンションのような一軒家。


三角屋根に、ヒノキの香りが漂う建物。


ここが、三永瀬家の別荘とのこと。



「誰かいるの?」


「誰もいないわよ」


「あ、そうなんですか」


「先輩、期待しちゃってる?」


「いや」


「そんな冷めた言い方することなくない?」



そんな冷めた言い方だったんですね。


俺はそんなつもりじゃなかったんですけど。


なんかすみません。


と、そんな会話をしながら、別荘の中に入る。


中は意外とこじんまりしていた。


リビングがあり、個室がいくつかある程度・・・。


1階建てで、屋根裏部屋のような空間があるだけ。


内装まで木製だからなのか、北欧の家って感じがする。



「すごい・・・ですね」


「小学生の感想かな? あはは、ゆっくりしていいよ」


「あ、どうも」


「シャワーあるけど、さき浴びてくる?」


「あいや、三永瀬さんお先に」


「そう? お風呂じゃないから残り湯とかないよ?」



なんでそういう話になるんですか・・・。



「大丈夫です」


「それとも、一緒にいっちゃう?」


「いきません」


「先輩って、性欲なさそうですよね」



俺はその言葉になんて返せばいいんだ・・・。



「それでいいので」



返答にほんの少しばかり悩んだが、そんな感じで適当に返す。


蒼はそれに声を出して笑い、そのまま奥の方へ行ってしまった。


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