第196話「朝食は食べない派」


よく分からない道を蒼の運転で走っていると、次第に景色は山がちになってきた。


道路は真ん中にオレンジの中央線が敷かれている大きな道路。


だが、所詮は山道って感じで、右へ左へと、カーブが続く。


車だと減速して慎重に曲がるのだが、バイクだとただ車体を倒して曲がるだけ。


車に比べてスピード感もあるので、それがただただ怖かった。


数時間もぶっ通しで走っていると、道の駅の看板が出現。



「休憩しよっか」



そう言い、その道の駅によることに。


その道の駅は、付近に何もないような山奥にあるにも関わらず、車やバイクの利用者がそれなりにいた。



「意外と人がいるもんですね」


「まぁこんなもんよ。それより先輩、疲れませんでした?」


「俺は何もしてないから別に。三永瀬さんの方が心配」


「いつものことなので」



いつも数時間もぶっ通しで走り続けているのか。


疲れていないとはいえ、少し身体を伸ばしてリラックス。


ここがどこなのか、これからどこまで行くのかも分からない。


休めるうちに休んでおこう・・・。



「今さらですけど、わたし朝ごはんがまだなんですよね」



と、蒼が唐突な発言。


朝に集合して、ここまで数時間。


朝ごはん抜きでよく体力もちますね・・・。



「もう朝って時間じゃないですけど」


「でも、昼にしては早いですよね」


「朝、何も食べなかったんですか?」


「一口のバターロールを1個だけ」



それは食べてないも同然なのでは?



「なにか食べますか」


「軽くね」



ということで、売店に入る。


こういうところは、スーパーとは違って地元の特産品を中心に品揃えがされている。


山奥の特産品とは何だろうか・・・と思ったが、山菜や野菜が中心だった。



「これ美味しいよ」



と、蒼が・・・。


指しているのは、サンドイッチだった。



「サンドイッチですか?」


「地元の野菜とか使われてるらしいです。私は好きですね」



そう言い、彼女はそれを手に取ってレジへ。


俺は正直腹が減ってるわけではなかったが、まぁオススメされて無視するわけにも・・・ということで、そのサンドを購入。


彼女のバイクの前で二人仲良く食しました。


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