第194話「私の愛車」


12月31日。年の瀬ということで、そんな感じの雰囲気が漂う。


新聞の番組表には、年末の特番が朝から夜までぎっしり。


外を少し歩けば、門松なんかの正月飾りがあったする。


朝の空気は新鮮に感じるが、それは気温が低いからだと思いながら歩く。


今日は三永瀬蒼のお誘いで、どっかに出かける日だ。


どこに行くのかは不明。


荷物は言われた通りに軽装で、服装はモコモコした上着を着込んで、ズボンは二枚重ねでばっちり防寒。



「あ、おはようございます」



朝の7時。近所の公園で待ち合わせだ。


6時50分ぐらいに公園に到着すると、蒼の姿があった。


岩船先生と出かけるときもそうだが、いっつも相手が先にいる。



「おはよう・・・ごめん、待ったよな」


「大丈夫です。さっき着いたばかりなので」



このセリフ、言う立場が毎回逆なのが思うところ。


と、いうか・・・。



「あの、三永瀬さんそれって」



嫌なもの・・・ではないが、なんかすげぇものが蒼の真横にありました。



「私の愛車」



と、そう言ってそれをポンポンする。


そこに停まっていたのは、一言に言えばバイクだ。


エンジンのついているバイク。



「えっと・・・三永瀬さん免許持ってたの?」


「16でとったわよ。普通自動二輪免許」



16って、三永瀬さん今も16でしょ。



「あ、じゃあそれ原付とかでは?」


「400の中型バイクよ」


「なるほどね?」



ようするに、普通のバイクってことですかね。



「はい、これ」



そう言い、ヘルメットを渡される。


蒼の隣にバイクが停まっている時点で、なんか嫌な予感はしていた。


が、メットを渡されて完全に理解する。



「もしかして、バイクに乗って移動?」


「そう。というか、今回はそれが目的」


「おれ、後ろに乗る感じ?」


「それ以外ある?」


「ま、まぁ・・・」



バイクか・・・なんか怖いイメージしかないけど、大丈夫だろうか。


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