第193話「年中暇な人間」


悩みを相談したいのだが、相談するほど仲良い人がいないことに気づく。


つくづく自分のことを憎くおもう。



『年末って暇ですか?』



家でダラダラしていると、そんなメッセージが届いた。


送信者は三永瀬蒼だった。



『31日?』


『そう』


『俺はいつでも暇だけど』


『なら、ちょっとだけ付き合ってもらえますか?』


『あ、うん』



最近は彼女に呼び出されることが多くなった気がする。


彼女は元ヤンということで、俺はパシリみたいな感覚なのだろうか。



『何するの?』



と、追加でメッセージを送信。


すると、返信は1分もしないうちにきた。



『暇なんで、ちょうどいい人誘ってどっか行こうかなぁって』


『俺で良かったの?』


『年末年始って、帰省とかで予定入ってる人がほとんどなので』



年中暇で、他の予定も入ってなさそうな人を総当たりして、生き残った候補者が俺ってことか。


なんだろう、この負けた感。



『嫌なら断ってくれてもいいですよ』


『いや、断る理由はないけど』


『そうですか。村上先輩はインドアだと思っていたので』



どちらかと言えばインドアだが、別に外に行くことに抵抗があるわけではない。


気分転換に一人で外出することだってあるし、岩船先生と旅行にだって行っている。



『出かけるのは好きだから大丈夫』


『意外ですね。あと、荷物はなるべく軽装でお願いします。あと、厚着してきて下さい』


『分かった』



なぜ軽装でなければならないのか。


冬なので、厚着に関しては理解できなくはない。


というか、言われなくても厚着をする。


よく分からないメッセージだったが、この時は特に疑問を抱くことなくそれに同意した。


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