第190話「ふらっと立ち寄る場所」


冬休みが始まった。


が、特にやることはない。


旅行に行くわけでもないし、帰省するわけでもない。


友達と遊びに行くとか、部活の合宿とか、そういうイベント事もない。


本当に、なんの予定もない冬休み。


最初は家でゲーム三昧の日々を謳歌していたが、それも次第に飽きてくる。


長期休みだと毎回のことだ。


楽しいことも、ずっとやってると飽きるものだ。


ということで、気分転換に外に出る。


極寒の外だが、コートを着込んで寒さを誤魔化す。


とはいえ、行くところなどない。


ということで、自然とやって来たのが学校であった。



「おや」



学校に来て、行くところは決まっている。


天文部の部室だ。


何となく察しはついていたが、そこには岩船先生の姿。


彼女はいつも部室にいるイメージだ。



「岩船先生・・・お久しぶりです」


「久しぶり・・・なのか?」


「1週間ぶりぐらいですかね」


「まぁそのくらいだな。何か用か?」


「いえ、暇なので」


「学生はいいよな」


「先生も暇だからここにいるのでは?」


「冗談言わないでくれ。手元のこれを片付けてるところだよ」



岩船先生は机に向かって何かをしていた。


その何かは分からないが、書類が乱雑に広げられていた。


まぁ察するに、事務作業でもやっているのだろう。



「大変そうですね」


「まぁな。年末までに片付けないと」


「そうですか」


「でも、ちょっとだけ休憩するかな。村上も来てくれたことだし」


「えっと、おれ関係なくないっすか?」


「少し話がある」


「そ、そうですか」


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