第188話「彼女の意思は固い」


部室に残るのは岩船先生。それから俺と三永瀬蒼。



「三永瀬は経験ないと思うが、天文部の顧問は元々私だ」



岩船先生から話があるということで、今は部活終わりの時間にちょっとだけ居残り。



「あ、私いない方が良い感じですか?」



と、蒼が。


去年度の話をしているので、1年生の蒼にとっては未知の話だ。



「いや、どちらでも構わない。村上といつも一緒に帰ってるようだから、引きとめただけだ」


「そうですか」


「話を元に戻して。夕凪先生に顧問を代行してもらっているが、彼女自身も色々と忙しいようでな。だから、年が明けたら天文部の顧問を本来の状態に戻すことにした」


「ってことは、岩船先生が顧問に戻るってことですか?」



思わず口を挟んでしまう。個人的には、岩船先生の方がやりやすい。



「あぁ」


「大丈夫なんですか?」



元々、春休みに倒れた岩船先生。体調など諸々を考慮した上で、夕凪先生に顧問を代行してもらうことになっている。


岩船先生は、これでも身体は弱い方だ。


なのに、わざわざ負担の増えることをしても良いのだろうか。



「自分のことは自分が一番よく知っている」


「確かにそうかもしれませんが、岩船先生は無理するタイプじゃないですか」


「そんなことはない」


「そんなことありますよ」


「しかし、これは決まったことだ」



また倒れられても困るだけなんだが・・・。


まぁでも、こうなった岩船先生の意思は固い。



「体調だけには気をつけて」


「分かっている」


「来年からよろしくお願いします」


「分かった。話はそれだけだ。よいお年を」


「よいお年を」


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