第184話「頭に浮かべるまでもなく予定はない」


天体観測が終わったのは、朝の4時をちょっと過ぎたあたり。


ほぼ朝ということで、高校生の俺らとしてはやってることが完全に不良そのものだ。



「帰りはどこまで行けばいい?」



と、車を運転する岩船先生の発言。



「車に乗せてくれた公園でいいわ。それと村上先輩」


「あ、なに?」


「このあと、ちょっとだけ時間ある?」


「まぁいいけど」



蒼からのお誘い。


このあとの予定を頭で浮かべるが、何もないということに気づいてその誘いに承諾。


岩船先生の運転する車で、学校近くの公園まで送ってもらう。


そこで二人降りて、岩船先生とはここでサヨナラだ。



「んじゃ、気を付けるんだぞ」



そう言い、岩船先生は自分の家へ向かう。


そして、蒼と二人だけになる・・・。



「えっと」


「ついてきてほしいかな。ここでもいいけど、別の場所で」


「あ、うん」



ということで、場所を変える。


移動中は、終始無言だった。


これから何をするのだろうか。


どんな理由があって、俺は彼女の後ろを歩いてついて行くことになったのだろうか。



「あの・・・三永瀬さん」


「なに?」



俺もこの町で生まれて、この町で育っている。


だから、ある程度の土地勘はあるつもりだ。



「どこへ、向かうつもりなの」


「大丈夫。先輩を悪いようにはしないから」



この道をまっすぐ向かうと、たどり着く場所・・・。



「でも、いま向かってる場所って・・・」


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