第183話「開き直りの自己解決」


「村上先輩は、綾香のことどう思ってる?」


「それは、いまの俺に対しての質問?」


「うん」



今の俺は・・・。


正直、当時の俺とそこまで変わっていないような気がする。



「好きとか、そういうのはない。でも、悔しいって気持ちははっきりと残っている」


「悔しいって?」


「もっと、何かできたんじゃないかって」


「じゃあ村上先輩は、当時に戻ることができたらどうするの?」



当時に戻ることができたら・・・。


平林綾香ともう一度会うことができたら、俺はどうするのだろうか。


彼女には、自殺してほしくはない。


でも、だからと言って俺にできることがあるのだろうか。



「どうすれば、いいんだろ」


「先輩は、今も昔も変わってないってことですね」


「人はそう簡単に変われないからな」


「開き直らないで」


「うん、ごめん」



蒼の言う通りだ。


自分で納得して、開き直って。


でも、成長するってなんだろうか。


例えば、いま目の前にいる蒼が平林綾香と同じ境遇を辿っていくとして、俺はどんな行動に出るのだろうか。


多分、蒼に響くような言葉、行動はできないと思う。


だからこそ、結果は平林と変わらないことになる。



「これだから、人間関係はイヤなんだ・・・」



呟いたその一言に、蒼は。



「そうね」



意外にも、同意してくれた。


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