第181話「どっちも天文バカ」


俺と岩船先生と蒼の三人で天体観測。


観測をする場所に行くまで、岩船先生と蒼の間で険悪な雰囲気になってしまったのだが・・・。



「え、その望遠鏡使ってるんですか?」


「あぁ」


「めっちゃ欲しかったやつ。高くて買えなくて」


「私も奮発したからな」



なんか、仲良くなってないですか?


どっちも天文バカということで、気が合うのでしょうか。


というか、さっきまで不仲みたいな雰囲気出しておいて、女ってすげぇよな。


なんというか、切り替えというか。


天体望遠鏡の設置が終わると、そこから天体観測をしつつ、今回のお目当てであるしし座流星群を待つ。


望遠鏡を覗く蒼は、完全に岩船先生のそれと同じ。


その岩船先生との会話も弾んでいるようで、終始楽しそうな感じだ。


俺には訳の分からん天文用語しか出てこないので、何を喋っているのかは不明。



「そろそろ流星群の時間じゃないか?」


「さっきからたまにそれっぽいの観れてるからね」



と、岩船先生から蒼へと続く発言。


流星群、つまり流れ星。それの観測は、地面にレジャーシートを敷いて寝転んで観測する。


流星群の観測は根気勝負ということで、ジッとその時を待つ。



「私はお手洗いに行かせてもらうよ」


「あ、はい」


「おーけ」



1時間ぐらい寝転んだところで、岩船先生が退席する。



「ねぇ村上先輩」



先生がいなくなるやいなや、蒼が話しかけてくる。


お互いに顔は見えない。


俺も蒼も、空を見たまま会話をつづける。



「なに?」


「相談がある」


「うん、聴くよ」


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