第177話「流星群=流れ星」


だらだらと過ごしていると、だらだらと時が流れる。


気づけばもうすぐ冬がやって来る、11月という季節。


あれから平林綾香の件を、岩船先生に伝えるかはすごく悩んだ。


が、伏せておいた。


何と言うか、知らない方がいいってこともある。


蒼にだって、もしかしたら迷惑をかけることになるかもしれない。


んで、その三永瀬蒼だが・・・。



「村上先輩! 11月といえばなんでしょう!」



今日はやけにテンションが高い。


この場には夕凪先生や匠馬もいる。


蒼の本性は、一応俺だけが知っているということになっている。


なので、この2人がいるときは、蒼はおとなしい蒼の性格を演じているのだが・・・。


今日はどうやらそれを隠しきれないほど興奮しているようだ。



「えっと・・・なんですか? 11月?」


「はい! 夕凪先生は?」


「えっと・・・七五三?」



高校生相手に七五三はないでしょう。


こういうところが可愛いと、匠馬は言うけど・・・。



「違います。私たちは何部ですか?」


「しし座流星群だろ?」



と、そこへタイミング良すぎだろ案件でドアが開かれ、開けた主である岩船先生が言う。


しし座流星群。なるほど、流れ星のことか。


そう言えば、蒼は星とかそういうの好きだったな。


てっきりそれも演技でこの部活に入ってきてたと思っていたのだが・・・まぁさっきまでのテンションを考えると、どうやら違うよう。



「しし座流星群?」


「なんだ? それ」



と、夕凪先生と匠馬の順に口にする。


この人たちは、俺と同じで天文学はさっぱりの人間だ。



「ようするに、流れ星ってことですかね」



と、一応俺が説明する。


流星群=流れ星


って言った方が、多分一般人には伝わると思われる。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る