第172話「綾香との接点」


「平林綾香・・・その人がどうしたの?」



思い切って、三永瀬蒼に平林綾香の件を相談してみることにした。


彼女に平林綾香の名前を出したとき、ちょっとだけ眉が動いた気がした。


微妙な表情の変化だが、何かしらに反応したような、そんな感じ。



「ちょっと気になることがあって」


「なに?」


「彼女が、君たちのグループにいたって噂があって」


「なるほどね・・・」



と、それから少し間が空いた。


何かを考えてるような感じ。


でも、数秒で再び蒼が口を開く。



「確かに、いたわね」



と・・・。



「いたんだ」


「うん。それがどうしたの?」


「今は、いないでしょ?」


「そうね」


「なんで、、、か、知ってる?」



今の一言を言うのに、心拍数が急上昇したのを感じた。


同時に、蒼の表情も強張ってゆく。


そして・・・。



「死んだからじゃないの?」



割とあっさりとした一言だった。



「死んだって、知ってるの?」


「そう聞いてるわ。村上先輩こそ、どうして綾香の名前を?」


「平林さんは、元々この高校の天文部に所属していたんだ」



そう聞いて、なるほど・・・と、納得したような、でも腑に落ちないような表情をする蒼。


勘ぐっているのか、それともどうでもいいと無関心なのか。



「それで?」



と、そんな風に返してきた。


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