第161話「久しく見かける彼女の姿」


9月中は、一切部活に姿を現さなかった三永瀬蒼。


てっきり学校も休んでいるのかと思ったが・・・。



「ん?」



下校時。校門を出ようとするところで、三永瀬蒼の姿を見てしまった。


向こうは俺のこと気づいていない。


蒼と、女子2人で仲良く横並びに歩いている。



「どうした」


「ひっ!?」



背後から急に肩を叩かれた。


誰だよ。そう思って振り返ると、そこには岩船先生の姿。



「あれ、どうしたんですか」


「たまたま見かけたからな。どうした?」


「あいや、そこに三永瀬さんが・・・」


「それがどうした? 告白にでもいくのか?」


「違います。三永瀬さん、最近天文部に来てなくて」


「みたいだな。それがどうした? 心配ってことか?」


「まぁ・・・というか、岩船先生も前に気にしてたじゃないですか」



岩船先生が蒼のことを気にしていたのは6月の梅雨の時期。



「まぁな。だけど、もう大丈夫だろう」


「大丈夫って・・・でも、まだ彼女は・・・」



以前に、岩船先生から聞いている。


三永瀬蒼は、中学時代からヤンキー(?)みたいな感じで、学校にマークされていたらしい。


高校生になってからも、それで先生にマークされていたとかなんとか・・・。



「学校で問題を起こさなければそれでいい。それが私の考え」


「そんなんでいいんですか?」


「私はそう思う。まぁ世間はそう見てくれないらしいが」



そんな話を聞くと、先生もストレスの多い環境に身を置いてるんだなぁって思う。


まぁ他人事でしかないけど。


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