第159話「他人の裏側」


廃墟に響き渡る、女子の声。


そこにいるのは、不良のようなガラの悪い陽キャ軍団。


服装は普通だが、こんなところにいる集団などヤンキーでしかない。


その中にいた、三永瀬蒼。


数秒間眺めたところで、匠馬から来た道を戻ろうといった感じのジェスチャーをされた。


そして、まっすぐと廃墟の敷地内から外に出る。



「な、なぁ・・・さっきの」


「友彦、見ただろ?」


「あれって・・・」


「三永瀬蒼。有名なヤンキーグルの人間だよ」


「ヤンキー・・・学校では、そんな感じには見えないけど」


「中学の時もそうだったらしい。あいつは、学校と外の顔が違いすぎる。俺も正直怖い」


「ってか、匠馬はどうして」


「蒼の裏の顔がヤバいって噂が立ってたから、気になって探ってみた」


「そしたら、さっきの通りだったと?」


「そんな感じだ」



なんというか、びっくりだ。


俺の知っている三永瀬蒼は、小柄で大人しそうな風貌。


幼い声で、その声も細々しい感じ。


とても優しい性格で、天体観測が好きな女の子。


しかし、今日見た彼女は、それとはまったく違った。


大人しそうという雰囲気を一切感じさせない異質さと、優しさとはかけ離れたガラの悪さ。


声も、幼さとか細々しさは一切なかった。



「学校での三永瀬って、作ってるって感じなのか?」


「まぁあれを見ると、そんな感じはするよな」



匠馬曰く、学校と外の顔は使い分けているらしい。


まぁそりゃそうだよなって話でもある。


俺が知ってる三永瀬蒼は、いま目の前にいる三永瀬蒼とはかけ離れている。


なんというか、ちょっとショックだ。


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