第155話「1年ぶりの景色」
早朝と言っていいのか分からないぐらい早起きすることになった俺と岩船先生。
4時半ごろまで適当に雑談していたが、そろそろ限界を迎えるころだ。
「村上、久しぶりに行ってみないか?」
「どこにですか?」
分かってるだろ?
そんな感じの視線が刺さる。
とりあえず、岩船先生についていく。
夏で日の出は早い。とはいえ、まだまだ暗い時間帯に家を出て田舎道を歩く。
道中、お互い会話することもない。
無言のときは、土を踏む足音が響くほどに辺りは静寂だ。
やがて道は、森の中に入っていく。森というよりかは、小高い山という感じだろうか。
ゆったりとした上り坂が続く。そして、背の高い木々が辺りを覆い尽くす。
そんな道を歩くこと数分。曲がり角が現れる。
その曲がり角を曲がって、足を止める。
「ここ・・・ですか」
思わず声が漏れてしまう。
「1年ぶりだな」
「そうですね」
背の高い木々が、一直線に途切れているところがある。
そこには、石畳で登り階段が続く。
あまりにも長く、ここを登るのは気が引けるほどだ。
でも、俺は1年前にこの階段を登り切っている。
「なんというか、懐かしいですね」
「登るか?」
「あ・・・はい」
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