第152話「不思議な気分の朝」


岩船先生の実家。朝になり、身体を起こす。



「おはようございます・・・あれ?」



何かがおかしかった。


俺と岩船先生は、同じ部屋で過ごす。


それはもちろん寝るときもそうなのだが、俺が起きると隣には布団が敷かれていなかった。


もちろん岩船先生の姿もない。



「先生・・・?」



既に起きているのだろうか。


客間のある二階から、階段を下りてみる。



「あ、おはよ。友くん」



廊下でばったり会ったのは、友奈だった。



「おはようございます。あの、岩船先生は・・・」


「ん? 佳奈美ちゃん?」


「あ、はい」


「何言ってるの? 怖い夢でも見た?」



そう言い、頭を軽くポンポンと。


優しく撫でるようにしてくれた。


その時の友奈は、なぜか憐みの目をしていた。



「あいや、岩船先生どこ行ったのかなぁって」


「友くん・・・大丈夫?」



いや、俺は大丈夫だ。


というか、何の冗談だ?


友奈の口調的には、深刻そうな感じ。


ふざけているようには思えないのだが・・・。



「えっと、友奈さん?」


「まぁ友くんにとってはショックだったかもしれないけど、もう過ぎたことよ。いつまでもそんな調子じゃダメ」


「え、えっと・・・はい?」


「私だって悲しいよ。でもさ、もう・・・ね?」


「えっと、どういうことですか?」


「いい加減現実を受け止めようよ。佳奈美ちゃんは、自殺したんだよ」


「え・・・?」


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