第147話「秘密兵器はすげーもん」


岩船先生の実家に来ている。


この辺りは、夜になると真っ暗だ。



「よし、行くか」



岩船先生がそう言ったのは、夜ごはんを食べ終えてから1時間ぐらい経過したとき。



「あ、はい」



唐突に言われたお出かけ宣言だが、何をするために出かけるのかはおおよそ察しがついている。


まぁ伊達に1年天文部をやっていませんよって話だ。


岩船先生の実家から車で10分もしないところ。


小高い山の頂上付近で、天体観測だ。



「今日は秘密兵器を持ってきた」



柄にもなくウキウキな岩船先生。


彼女が車から取り出したのは、普段の天体望遠鏡とはちょっとだけレパートリーの違うパーツたち。



「なんですか? これ」


「今日はいつもとちょっと違う方法で天体観測をしてみる」


「なるほど」



岩船先生が用意した天体望遠鏡は、文字通りの天体望遠鏡だ。


三脚の上に鏡筒がある構造。


しかし、普通の天体望遠鏡によく分からん機械類が取り付けられた。


パソコンにまで接続して、ごちゃごちゃしたそれなりに大掛かりな装置になっている。



「岩船先生、これ何なんですか?」


「こいつは電視観望するための望遠鏡だ」


「でんし・・・?」


「肉眼じゃ暗くて観えずらいから、接眼レンズの代わりにCMOSカメラを取り付けて天体の姿を映し出すんだ」


「なるほど?」



なるほどと言ったが、8割理解していない。


まぁとりあえず、すげーもんってのは分かった。


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