第146話「1年はあっという間に」


「佳奈美ちゃん・・・いる?」



部屋でボーっとしていると、ドア越しから聞こえる女性の声。


その声にこたえるように、岩船先生が立ち上がる。



「あぁ・・・いるぞ」



そして、ドアを開ける。



「佳奈美ちゃん元気?」


「ぼちぼち」



ドア越しに聞こえた女性の声の主。岩船先生より一回り身長が低く、それでも俺よりかは高い。


ポニーテールとシュシュをして、ベージュ色のTシャツと白パンツという姿。



「あれ、その子って」



こちらに気づくと、そう言いながら近寄ってくる。



「ど、どうも・・・」


「あら~、佳奈美ちゃんが男連れ込んでるよ~、あはは」


「生徒だ」


「へぇ~?」



と、この光景は前にも見た気がする・・・。



「お久しぶり・・・ってほどでもないですね」


「でも友くんの顔久しぶりに見た気がするよ」



陽気な声。俺のことを友くんと呼ぶ。


そんな彼女は、岩船先生のいとこの飯田友奈。


さっき、"うるさいの"呼ばわりされていた人。



「友くん、家は久しぶりなんじゃない?」


「そうですね。1年ぶりですかね」


「そっかー。あれから1年も経ったのか」



昨日のことのよう・・・とまではいかないが、それでもつい最近のことのように思える。


1年というのはあっという間だ。


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