第131話「梅雨のどんよりとした時期」


何事もない平穏な日々は続いた。


ゴールデンウイークが終わって数週間が経過する。すると、梅雨の時期に入る。


どんよりとした天気が続く中、天文部にちょっとした変化があった。



「あら、三永瀬さん今日も来てないのね」



顧問の夕凪先生がそう言う。


部室にいるのは俺と匠馬だけ。



「今日も休みなんですか?」


「そうね・・・確認してくるわね」



そう言い、部室をあとにする先生。


ここ最近、三永瀬蒼が部室に現れなくなった。


部活動をサボっているわけではなく、学校そのものに来なくなった模様。



「蒼ちゃん、何かあったのかな」



と、地味に親し気な呼び方をしている匠馬が口にする。



「どうなんだろ。ここ最近急に来なくなったよな」


「男でもできたんじゃね?」


「それで来なくなるもんなのか?」


「そりゃそうだろ」


「そういうものなのか」



蒼に彼氏がいてもいなくても、俺にはどうでもいいこと。


しかし、それで学校に来なくなるってことがあるのだろうか。


部活だけ休むのならまだ分かるけど。



「三永瀬さん、今日も休みだって」



と、そこへ職員室から戻ってきた夕凪先生。



「また休みか」


「体調とか悪い感じなんですか?」



匠馬、そして俺からの質問。



「体調不良って話らしいよ。担任の先生が言ってたわ」



体調不良か。


今は6月中旬。


蒼が休みがちになったのが6月初旬ぐらいだから、そろそろ2週間ってところだろうか。



「風邪にしてはこじらせすぎじゃないか?」



と、匠馬が。


彼の言うことは、ここにいる全員が思っていることだ。



「少し心配ね」



とはいえ、心配することしかできないのが現状。


彼女がまた、天文部へ顔を出すのを待つしかないのだ。


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