第127話「したごころ」
放課後、平穏な天文部の部室に異質な人物がいた。
「夕凪先生は?」
「そのうち来る・・・と思う」
やけに夕凪先生のことを気にする男子。
暁匠馬。俺の最大にして最高に苦手な人物だ。
「ちょっと訊いていいか?」
「なんだ? 村上」
「なんでさっきから、夕凪先生のこと気にしてるんだ?」
昨日、橋の下で声をかけられて以来、こいつと会話をするたびに夕凪先生というキーワードが出てくる。
一応彼は天文部に入りたいと言って今日はここにいるが・・・。
「夕凪先生めっちゃ可愛いじゃん」
と、そんなクラスメイト匠馬の一言で、目が点になる。
少し離れたところで空気になることに徹していた三永瀬蒼に関しても、これには目線をこちらに向ける。
「え、かわ、、、いい?」
「めっちゃタイプ」
「あ、そうなんだ」
「村上は思わないのか?」
「え、えっと・・・」
さすがに先生のことを可愛いとは・・・。
「頼りになるお姉さんって感じだよな」
と、匠馬の発言。
そう言われてもねぇ・・・。
まぁでも、夕凪先生はお姉さん気質というか、面倒見の良さそうな様相をしている。
あくまで様相であり、性格がそれに伴っているかは別の話だ。
「でもさ、夕凪先生って結構歳いってない?」
「あーね、何歳なんだろ」
「わ、わからない」
「20代か30代ぐらいじゃない? まぁ年齢は関係ないんだよ。問題は・・・」
「問題は・・・?」
「既婚か未婚か」
あ、そこなんですね。
そこを気にするとは、こいつガチ勢じゃね?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます